水树奈々が通算12枚目のフルアルバム「NEOGENE CREATION」を完成させた。「新第三纪の创造」という意味を持つタイトルが冠された今作は、シンフォニックで幻想的な楽曲よりも、水树の等身大の姿や人肌を感じさせるようなリアリティを持つ楽曲を多く含み、近年の作品とは趣を异にする1枚に仕上がっている。
自身の音楽活动を7年区切りで総括した东京・东京ドーム2DAYS「NANA MIZUKI LIVE GALAXY 2016」、长年の梦だった兵库・阪神甲子园球场でのワンマンライブ実现、歴史あるアコースティックライブ企画「MTV Unplugged」への出演などを体験した水树が、そんな2016年を缔めくくるアルバムにどんな思いを込めたのか。12月上旬、アルバム制作の全工程を终え、年始に迫る全国ツアー「NANA MIZUKI LIVE ZIPANGU 2017」のリハーサルを行っていた水树にたっぷりと语ってもらった。
取材・文 / 臼杵成晃
猪突猛进型からの変化
──まずは2016年を振り返っていただけますか。今年はツアーはなかったものの、座长公演、东京ドーム公演、念愿の甲子园球场ライブ、「MTV Unplugged」と、さまざまなライブがありました。
本当にいろんなことがあった浓い1年でした。座长公演がものすごく前のことのように感じます。すごく充実してたし、とにかく时间が足りなかった(笑)。ツアーの场合は、リハーサルから始まって、ツアー初日から千秋楽までと、1つの流れがある中で、时间をかけて练り上げていく感じなんですけど、今年はすべて単発公演で、1つひとつ瞬発力が试されるものだったから、それぞれにかける时间も限られていて。「集中力が途切れたら负け!」みたいな、常に戦ってる感じがありました。
──なるほど、そうですよね。
これまでは私、ワンパターンな戦い方しかできなくて。がっぷり四つに组んで寄り切りしかできないというか(笑)、まっすぐ猪のように突进することしかできていなかったと思うんです。それが……ちょっとだけ大人になったからなのか、いろんな角度から攻めてみようと考えられるようになりました。「もしうまくいかなかったとしても、そこから见出せるものがあるはずだ」と失败を恐れずに、大胆に飞び込めるようになった1年でしたね。座长公演も今回で4度目だったのですが、今年は77人斩で200以上の手数を覚えたり(参照:水树奈々、座长公演「大いに呗う」で桃太郎に扮し77人斩りの大立ち回り)、东京ドーム(参照:ほうきで空中飞行も、水树奈々东京ドーム2DAYS完遂「梦は尽きない」)ではほうきに跨って空を飞んでみたり(笑)。
──水树さんは过去にも、シルク・ドゥ・ソレイユ仕込みの空中浮游などの派手なフライングに挑戦してきましたけど、ほうきで空を飞ぶという演出はインパクトが强かったですね。
「魔法少女みたいに、ほうきで飞びたいんです!」って提案しました(笑)。そういう演出面での试みもあれば、アンプラグドライブでは、伝统あるステージにどうやって自分のカラーを落とし込むのかという课题があって。ベクトルは全然违うんですけど、それぞれに新たなチャレンジ要素がしっかりと组み込まれていて。今までだったら、こんな大胆な発想はできなかったかもしれない。
──年齢と共に経験値を重ねてきた今のタイミングと、幅広い表现を求められる环境が用意されたからこそ、今までの猪突猛进型とは违った戦い方ができた?
そんな気がします。大前提として「皆さんが今までに観てくださったステージよりパワーアップしたものを、进化した自分を」という気持ちがあって。それは単にお金をかけた派手な演出を见せるだけじゃなくて、アイデアと努力でびっくりさせられることもきっとたくさんあるはずだと思って、そのバリエーションを今年は増やしていきたいという目标を持って活动してきました。
2016年は「急」「実」「惊」
──充実した2016年の缔めくくりとして、12枚目のフルアルバム「NEOGENE CREATION」が完成しました。スタッフの方の话によると、本来は今年アルバムを作る予定ではなかったとか。
そうなんですよ! 来年か再来年かなあなんてぼんやり话してたんですけど、7月にリリースしたシングル「STARTING NOW!」を作っていたとき……ちょうど东京ドームのリハーサルをしていた顷、デモテープを集め始めて制作を进めていたんですけど、集まったデモテープの中に「今すぐ形にしたい!」と思う曲がいくつもあったんです。决定打は「STAND UP!」に出会ったことです。「この曲を甲子园で歌いたい!」って。実は……今年は「実は」が本当に多いんですけど(笑)、东京ドームも甲子园も、急に决まった话だったんです。本当は秋にツアーをやる予定だったんですけど、急に「甲子园ライブができるかも!」というお话をいただいて、水树奈々の2016年下半期のスケジュールがガラリと変わったんです。
──本来ならば、夏にシングルを出して、秋にツアーで全国を回って、という。
はい。「秋ツアーは新曲が少ないぶん、これまでの楽曲からバラエティに富んだ选曲で」なんて考えていたので、アルバムを作る予定は春顷の时点ではまったくなかったんです。でも甲子园ライブが决まって、「STAND UP!」という曲に出会ったときに、「お披露目したあとなるべく早く形にしたい! そしてほかにもすぐ形にしたい曲がたくさんある。じゃあ、アルバムを作っちゃおう!」って。
──なるほど。先日、1年の世相を反映した2016年の汉字は「金」に决まりましたけど、水树さん的には「急」や「実」が选ばれそうですね。
そうですね! あと「惊」ですね(笑)。惊きっぱなしの1年でした。
「新しい遗伝子を创造する水树奈々の第三纪」
──今回の作品は、ここ最近のアルバムとは异なるムードを感じました。ドラマチックで幻想的な楽曲よりも、すごく生身感のある、“人间・水树奈々”を感じる作品という印象で。全体の构成、楽曲の并びも今までと违う感じがするんですよね。
バレましたか(笑)。
──各楽曲について触れる前に、まずはアルバムタイトルについての话を。「NEOGENE CREATION」は直訳すると「新第三纪の创造」となりますが。
新第三纪は地质学的にある时期のことを指す言叶なのですが、この言叶を选んだのは、东京ドーム公演「NANA MIZUKI LIVE GALAXY 2016」で自分の活动の步みを7年ごとに「GENESIS」と「FRONTIER」に区切ったことに端を発します(笑)。7年刻みで考えたとき、私は今まさに第三纪に突入しているんだなって。さらに「NEO」と「GENE」に分ければ「新しい遗伝子」という言叶にも取れるなと考えて、「新しい遗伝子を创造する水树奈々の第三纪」という意味合いでこのタイトルにしました。わりと早い段阶でこのタイトルに决まったんです、珍しく。アルバムはいつも最后までタイトルに悩んでいたんですけど。
──ではアルバム全体の构想は、テーマに沿ってスムーズに?
特定の世界観を想定しない、広く1つの时代を指すテーマを选んだので、いつもより自由に曲が选べたんです。直感的に曲を选ぶという意味ではいつもの制作スタイルと変わらないですけど、これまでは选んだ曲からアルバムタイトルを导き出していたのに対し、今回は先にタイトルを决めていたので、最终的に选んだ曲がガラリと変わっています。最初に「今すぐ形にしたい!」と言っていた曲の中でも「当选确実だね」と话していた曲が外れたりして。
次のページ » 「わかったよ奈々ちゃん。じゃあ覚悟して聴くわ」
- 12thアルバム「NEOGENE CREATION」 / 2016年12月21日発売 / KING RECORDS
- 初回限定盘 [CD+Blu-ray] / 3888円 / KICS-93456特制BOX+オニキスデジパック仕样+スペシャルフォトブック+Blu-ray
- 初回限定盘 [CD+DVD] / 3888円 / KICS-93457特制BOX+オニキスデジパック仕样+スペシャルフォトブック+DVD
- 通常盘 [CD] / 3024円 / KICS-3456
CD収录曲
- めぐり逢うすべてに
[作词:松井五郎 / 作曲:园田健太郎 / 编曲:藤间仁(Elements Garden)]
- STAND UP!
[作词・作曲:ヨシダタクミ(phatmans after school) / 编曲:藤间仁(Elements Garden)]
- Please Download
[作词:森月キャス / 作・编曲:ats-]
- ALONE ARROWS
[作词:藤林圣子 / 作曲:Yu-pan. / 编曲:伊势佳史]
- TWIST&TIGER
[作词:矢吹俊郎 / 作曲:园田健太郎 / 编曲:藤田淳平(Elements Garden)]
- Rock Ride Riot
[作词・作曲:ヨシダタクミ(phatmans after school) / 编曲:藤田淳平(Elements Garden)]
- はつ恋
[作词:岩里佑穂 / 作・编曲:吉木絵里子、华原大辅]
- JEWEL
[作词:水树奈々 / 作曲:角野寿和、青叶纮季 / 编曲:ECHO(Martin Landstrom & Rasmus Faber)]
- UNLIMITED BEAT
[作词・作曲:上松范康(Elements Garden) / 编曲:藤永龙太郎(Elements Garden)]
- WAKE UP THE SOULS
[作词:しほり / 作・编曲:山﨑佳佑]
- STARTING NOW!
[作词:水树奈々 / 作曲:藤田卓也 / 编曲:藤田淳平(Elements Garden)]
- GLORIA
[作词:平朋崇 / 作曲:光増ハジメ / 编曲:EFFY]
- RODEO COWGIRL
[作词:藤林圣子 / 作・编曲:h-wonder]
- 君よ叫べ
[作词・作曲:水树奈々 / 编曲:藤永龙太郎(Elements Garden)]
- 绝対的幸福论
[作词・作曲:ヨシダタクミ(phatmans after school) / 编曲:藤间仁(Elements Garden)]
初回限定盘特典Blu-ray / DVD収录内容
- MUSIC CLIP「绝対的幸福论」
- 「NEOGENE CREATION」MAKING MOVIE
- 「TEAM MIZUKI 富士山顶への道」
- NHK「水树奈々 in 新居浜 のど自慢延长戦」ダイジェスト
水树奈々(ミズキナナ)
爱媛県出身の声优アーティスト。1997年に声优としてデビューし、「魔法少女リリカルなのは」「ハートキャッチプリキュア!」「NARUTO -ナルト-」といったアニメ作品で人気を集める。2000年にはシングル「想い」で歌手デビュー。2009年6月にリリースされたアルバム「ULTIMATE DIAMOND」で、声优アーティストとして初のオリコン周间ランキング1位を获得した。同年12月には「NHK红白歌合戦」に初出场。2011年12月には声优アーティスト初の东京ドームコンサートを2日间にわたって开催し、大成功に収めた。2013年には初の台湾公演を行い、海外へも活动の幅を広げている。2016年9月には长年の梦として掲げていた兵库・阪神甲子园球场でのワンマンライブを実现させた。12月には通算12枚目となるオリジナルアルバム「NEOGENE CREATION」を発表。2017年1月より全国ツアー「NANA MIZUKI LIVE ZIPANGU 2017」を开催し、4月には岛根・出云大社东神苑でスペシャルライブ「水树奈々 出云大社御奉纳公演」を行う。